売上から見る日本企業の中国依存度ランキング

中国依存度ランキング 日本株

新型コロナウィルス。この単語を聞いたことない人はいないでしょう。

最近のニュースはこの話題で持ちきりです。日に日に増える感染者数。その感染は中国国外にも広がっています。

中国では春節を延期し、一部地域ではほとんどの企業が休業をしており、経済活動をストップさせるほどの緊急事態になっています。

今や中国は世界の経済のメインプレーヤーであり、買い手や売り手、そして色々な製品のサプライチェーンの一部としても活躍をしています。今、中国において起こっている新型コロナウイルスによる経済活動のストップは、中国国内だけではなく、世界経済に甚大な影響が出ることは間違いありません。

本記事では分かりやすいところである「買い手としての中国」にクローズアップします。
日本企業の売上に対する中国の割合で中国依存度ランキングを作成し、今日における中国の買い手としての存在感を体感してみました。

新型コロナウイルスについての関連ニュースは山ほどありますが、1つだけ記事を置いておきます。

調査対象の選定

たくさんある日本の上場企業の中でどの企業を調査対象にするか、それは大きな問題です。ここの設計を間違うととんでもなく大変な思いをするからです。

↓225社の有価証券報告書を調査して大変だった思い出

あの過ちは二度とするまじと思いながら中国への売り上げが多い日本企業のリストがないかを調べていたところ、ある指数があることを知りました。

その名も、日経中国関連株50

日本で一番知名度のある指数と言っても過言ではない、日経平均株価は日経さんが提供しています。その日経さんが提供する、中国と関連の深い企業を集めている指数です(詳細はこちら)。

銘柄選定の基準は以下のように書かれています。

東京証券取引所上場の内国普通株式で、原則として日経株価指数300の構成銘柄の中から選定します。銘柄は、①日本経済新聞社が発行する新聞での中国関連記事の掲載度合い(件数と出現率)、②有価証券報告書に開示された中国関連事業の積極度、を評点化してその得点が高く時価総額の大きい50銘柄で構成するのが原則です。

日経中国関連株50 概要より

なにこれ最高じゃん!
ということで天下の日経さんプロデュース「日経中国関連株50」を対象にしました。

ちなみに日経中国関連株50の3ヶ月推移はこんな感じです。
直近はやはり下がってますね。そして、上下動が結構激しめに見えます。

日経中国関連株50チャート
日経中国関連株50

調査方法

どうやって中国の売上の割合を調べるかというと、そうネタバレ気味に名前が出ていた「有価証券報告書」を見るのです。

有価証券報告書には地域ごとの売上もしくは収益が書かれており、重要な国の場合は単体での数値も書かれていることが多いです。記載を探し、愚直に数字を抜き出していく作業です。

なお、50銘柄中16銘柄は有価証券報告書に中国単体の数値を記載しておらず、ランキング参加拒否を突きつけました。またのチャレンジお待ちしております。

中国依存度ランキング発表

お待たせしました。ランキングの発表です。

34社を上位から順に並べました。赤い部分が、中国での売上/収益の割合です。

中国 売上/収益割合ランキング
中国依存度ランキング
  • 顧客の所在地に基づいて国別に集計されています
  • 一部、中華圏として台湾が含まれている場合があります
  • その他海外は、全体からの引き算で算出しています

トップ3とワースト3

トップ3とワースト3を見てみましょう。

1位 TDK株式会社

電子部品大手のTDKは、2019年3月期の中国の売上高が全体の53.0%を占めていました。

有価証券報告書には「中国に製造拠点を数多く有し、同国へ進出している得意先及び現地企業への供給体制を確立している」との記載がありました。

2位 株式会社村田製作所

電子部品大手の村田製作所は、2019年3月期の中華圏(中国・台湾)の売上高が全体の50.4%を占めていました。

有価証券報告書には重要な会社として中国にある子会社の販売会社3社 、生産会社3社、統括会社1社が挙げられていました。

3位 日本ペイントホールディングス株式会社

総合塗料メーカーの日本ペイントホールディングスは、2019年3月期の中国の売上収益が全体の41.7%を占めていました。

有価証券報告書には「中国において国内シェアトップを誇り、中国事業売上高の過半を占める住宅内装用塗料分野では、その高いブランド力と全国をカバーする販売網を背景に、今後継続して成長が見込める地方都市においても、さらなるシェア拡大を図ります。」との記載がありました。

34位 伊藤忠商事株式会社

総合商社大手の伊藤忠商事は、2019年3月期の中国の売上収益は全体の2.8%のみでした。

有価証券報告書には、中国におけるEV商用車のレンタル・メンテナンスサービスの地上鉄への2018年8月の出資参画が記載されています。また、ウェブサイトには中国物流事業が紹介されています。

最近では、2019年12月には知育・育児事業の展開、2019年3月には医療関連ビジネスへの参入のプレスリリースなどを出しており、これから割合が少しずつ高まってくるものと思われます。

33位 イオン株式会社

総合スーパー大手のイオンは、2019年2月期の中国の営業収益は全体の3.3%のみでした。

有価証券報告書では、当連結会計年度においてイオンモール煙台金沙灘(中国 山東省煙台市)、イオンモール広州金沙(中国 広東省広州市)の2モールが中国でオープンしたことが記載されています。

国内事業が大きいため割合としては存在感がありませんが、イオンが今後の成長ドライバーとして位置付けている海外事業の中で中心的な役割を果たすと予想されます。

32位 JXTGホールディングス株式会社

石油元売り大手のJXTGホールディングスは、2019年3月期の中国の売上高は全体の7.0%でした。

有価証券報告書には、本業に加えて水素事業においても事業展開を企図し、中国石油化工集団有限公司との間で協業の検討を開始した旨の記載がありました。

バックデータ

今回ランキング不参加銘柄を含めて、バックデータを表形式で置いておきます。(読み飛ばし推奨)

業種コード銘柄名中国(中華圏)日本その他海外ソース
電気機器6762TDK53.0%8.2%38.8%2019年3月期有報
電気機器6981村田製50.4%9.2%40.4%2019年3月期有報
化学4612日本ペHD41.7%28.6%29.6%2018年12月期有報
その他製造7956ピジョン31.8%46.3%21.9%2019年1月期有報
化学6988日東電29.2%26.0%44.8%2019年3月期有報
精密機器7731ニコン28.2%13.0%58.8%2019年3月期有報
電気機器8035東エレク24.1%16.3%59.6%2019年3月期有報
電気機器6594日電産23.4%19.6%57.0%2019年3月期有報
機械6471日精工19.7%37.1%43.3%2019年3月期有報
電気機器6954ファナック19.0%23.5%57.4%2019年3月期有報
化学4005住友化18.8%35.1%46.1%2019年3月期有報
機械6273SMC18.7%31.1%50.1%2019年3月期有報
小売業7453良品計画18.3%60.7%21.0%2019年2月期有報
小売業9983ファストリ18.0%50.3%31.7%2019年8月期有報
繊維3402東レ17.9%45.4%36.7%2019年3月期有報
化学4911資生堂17.4%41.5%41.1%2018年12月期有報
機械6367ダイキン15.3%23.6%61.1%2019年3月期有報
商社8113ユニチャーム12.7%40.6%46.7%2018年12月期有報
化学4183三井化学12.3%54.7%33.0%2019年3月期有報
電気機器6752パナソニック11.7%46.4%41.9%2019年3月期有報
機械6305日立建機11.6%19.9%68.5%2019年3月期有報
窯業5332TOTO11.1%74.4%14.5%2019年3月期有報
機械6103オークマ10.9%42.7%46.4%2019年3月期有報
電気機器6503三菱電10.8%56.6%32.7%2019年3月期有報
電気機器6501日立10.7%49.2%40.1%2019年3月期有報
鉄鋼5406神戸鋼9.8%63.7%26.5%2019年3月期有報
化学3407旭化成9.7%60.4%29.8%2019年3月期有報
化学4452花王9.0%62.3%28.7%2018年12月期有報
電気機器6758ソニー8.9%29.9%61.2%2019年3月期有報
化学4188三菱ケミHD7.4%57.6%35.0%2019年3月期有報
機械6301コマツ7.1%14.8%78.1%2019年3月期有報
石油5020JXTG7.0%79.2%13.8%2019年3月期有報
小売業8267イオン3.3%91.1%5.7%2019年2月期有報
商社8001伊藤忠2.8%77.6%19.6%2019年3月期有報
化学4063信越化データなし2019年3月期有報
鉄鋼5401日本製鉄データなし2019年3月期有報
鉄鋼5411JFEデータなし2019年3月期有報
非鉄・金属5713住友鉱データなし2019年3月期有報
機械7011三菱重データなし2019年3月期有報
電気機器6902デンソーデータなし2019年3月期有報
電気機器6971京セラデータなし2019年3月期有報
電気機器7751キヤノンデータなし2018年12月期有報
自動車7201日産自データなし2019年3月期有報
自動車7203トヨタデータなし2019年3月期有報
自動車7267ホンダデータなし2019年3月期有報
商社8002丸紅データなし2019年3月期有報
商社8031三井物データなし2019年3月期有報
商社8053住友商データなし2019年3月期有報
商社8058三菱商データなし2019年3月期有報
海運9104商船三井データなし2019年3月期有報

所感

中国が最大の販売先となっている企業があると思ってはいましたが、5割以上を占めているというのは想像していませんでした。中国経済への依存度は相当なものです。そして、5割を超えている2社(TDK、村田製作所)の国内の割合が低いのにも大変驚きました。

この記事では買い手としての中国を見ましたが、インバウンド消費における買い手としての中国は含まれていません。例えば、近年絶好調の地域限定の菓子を手掛ける寿スピリッツやドラッグストア各社などは中国人観光客による購入額がかなり含まれているものと思われます。

新型コロナウイルスの何が怖いって、重症化率が低いところではないかと思います。それでもって感染力は強い。潜伏期間中も移るという話もありますね。

自分がかかっていると認識せずに仲介者になってしまい感染が広がっていく。
止めるためには人と人との接触を最小限にする必要有がある=経済活動を止めざるを得ない。

被害者を出さずに国家にダメージをもたらすために設計されたような印象さえ抱いてしまいます…。

さて、ここら辺でまとめます。
新型コロナウィルスの影響は買い手としての中国を見ただけでも非常に大きな影響が出ることが予期されます。経済活動の面は、健康被害に比べれば大したことではないですが、大切な要素であることは間違いありません。一刻も早く、平穏な日常が戻ってくることを願っています。

あとがき

なぜ人は同じ過ちを繰り返すのだろう。

なぜ有価証券報告書が絡むとこんなに作業が辛いのだろう。

225社に比べて50社なら余裕だろうと思っていた自分の甘さに張本さんばりの「喝!」を入れたいです。

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