本日は2020年3月1日(日)です。今週はコロナウイルスの影響で世界中の株式相場で暴落が起きました。きっと将来この記事を読む方の記憶にも残る相場になっていることでしょう。
私の持ち株も当たり前のように毎日下げました。持ち株の15営業日評価損益推移を見てみると以下のようになってます。
現在、私が所持している日本株は5銘柄中4銘柄がNISA口座での所持です。
一番下げのきつい「日本システム技術」のみがNISA口座での所持ではありません。この点もかなり趣がありますが、今回は割愛させていただきます。80%を占めているNISA口座のお話です。
私自身もそうですが、今回の暴落でNISA口座で所持していた銘柄が含み損になったという方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では銘柄が含み損となったときに急に性格が変わるNISAの注意点と対処法を紹介します。
NISA(ニーサ)とは
すでにNISAを使っている方向けの記事ですので、簡単な紹介に留めます。
NISAとはNippon Individual Savings Accountの略で、「少額投資非課税制度」の愛称です。
イギリスで1999年に始まったISAという制度をモデルに策定され、2014年から始められた制度です。
2016年からは未成年を対象にしたジュニアNISA、2018年からは積み立てを対象にしたつみたてNISAとNISAの亜流もありますが、本記事では一般NISAについて書いています。
NISAのメリット
NISAのメリットは、NISA口座で購入した金融商品(株式や投資信託など)の配当金、譲渡益などが非課税となる点です。
何と言ってもこれに尽きます。毎年120万円が上限、最長保有期間が5年間という制限はありますが、利益の20.315%が持っていかれる税金が無になるというのは大きいです。
(期間については、5年以上保有するロールオーバーという制度もあります)
税が掛からない、つまりは確定申告の対象にならないという側面もあります。
毎日一喜一憂、時には叱咤激励し、時には相談相手にもなりつつ、大切に育てた株の利益が丸々手に入る。その利益が大きく育っていれば育っているほど、20.315%が引かれないメリットは大きくなります。
素晴らしい制度ですよね?
手放しで喜びたい制度なのですが、実は落とし穴もあるのです。
下落相場で露になるNISAのデメリット
NISAのデメリットは下落相場で露になります。銘柄が含み損を抱えた時にNISAは非常に厳しい裏の顔を見せてくるのです。
行いの良い生徒に対しては非常に優しい先生(50代女性)が、不良になった生徒には鬼のように厳しくなるイメージです。
損益通算の対象ではない
1つ目は損益通算です。
上述のようにNISA口座で所有していた銘柄を売却したとき、利益があれば無税となるメリットが得られます。では損が出た場合はどうなるのでしょうか?
売却時に損失が出ている場合は、元から税は掛かりません。NISA口座の場合も同じです。
一見同じなのですが、詳しい内容を見ていくとNISAの非情さが見えてきます。
突然ですが、私は毎年確定申告に行っています。株で儲けているから?いえ、損をしてるからです。
「上場株式等の譲渡損失の繰越控除制度」という制度があり、確定申告をすることによってその年の通算損失を翌年から3年間繰り越すことができます。
「来年から本気出す」とつぶやきながら2月もしくは3月に確定申告をすることにより、翌年から3年間損失が繰り越せます。そして、その間に得るであろう爆益の税金負担を下げることができるのです。
1年間に絞って見た場合も、その年に出た譲渡益や配当などと譲渡損失を相殺したのちの利益分に対して税金がかかる仕組みになってます。
この利益と損失の相殺がないと損をいくらしていても利益分に対して税金がかかる鬼のような仕組みになってしまいます。
が、実はNISA口座で発生した譲渡損失は損益通算されません。相殺の対象外です。もちろん繰り越しにも含まれません。相殺のないぷよぷよの恐ろしさ…。
極端な例を挙げると、
特定口座での2020年の譲渡損益の合計:100万円
NISA口座での2020年の譲渡損失の合計:100万円
の場合、個人的にはプラスマイナス0なのですが利益100万分には無慈悲に税金がかかるのです。つまり、-213,150円のマイナスになります。
「損失はともだち こわくないよ」を地で行く私、涙目
NISAバイアスがかかる
2つ目は、NISA制度が心理に与える影響です。正確に言うとデメリットではなく、デメリットに成り得るです。
NISAのメリット、デメリットを簡単に書くと以下の2点です。
- 譲渡益が大きいほどメリットが大きくなる
- 譲渡損失が大きいほどデメリットが大きくなる
投資の世界でもよく挙げられる心理は「損失回避」です。以下の記事などでも書かれていますが、「購入価格より安く売ることを避ける行為 」 です。
もし、この効果が得と損の境目で発生しているのであれば、含み益がなくなる直前に株を売る人が大多数ということになります。しかし、何かしっくりと来ません。
「いい材料が出て調子よくプラスになっていたんだからしばらくすれば元に戻るだろう」
こういった考えが浮かぶことはないですか?
私が想像するに損得の境目は買値にあるのではなく、含み益の頂点付近で更新されています。
頭の中では捕らぬ狸の皮算用が発動しており、
「あの時売っていれば20万円儲かったんだから値段が3%落ちている今売るのは損失だ」
こういった具合になります。それが買値より高かったとしても損失回避行動が始まっているのです。
そして、その考えにNISAの効果が加わると…損失回避行動が増強されます!
私はこれをNISAバイアスと名付けます。(このネーミングを誰も使ってなかったようでビックリ)
「この私がNISAという特別な口座に入れた一押しの株がめちゃくちゃ上がってる!」
からの
「あぁ、あの時から3%落ちてる。あの時に売っておけばなぁ。でも一押しの株だしほっとけば戻る戻るっ!」
ときて
「まじかよ!あんなに含み益あったのに含み損?は?」
こんなところで売れるであろうはずがなかろう。
極端に言ってますけどね(他のバイアスも仕込まれてます)。下落中かつ含み益がまあまああるどこかのタイミングで意を決して売れることももちろんあります。
暴落時には相場が平常に戻れば株価も戻ると思い(願い)、この考えがさらに強まる?
デメリットを消すための出口戦略
NISA口座で購入する銘柄は、長期投資が前提なので業績が安定していて配当もしっかり出すところを選択するのが基本です。
しかし、たとえ基本を守ったとしても以前はNISA向け超優良銘柄だった銘柄の凋落があるように何が起こるか分かりません。日産がそうですね…。
そこで、もし含み損になった場合にどうやって含み益まで持っていくかの出口戦略を考えます。
ひたすら放置(塩漬け)
戦略其の一は、ひたすら放置、いわゆる塩漬けです。
基本は時間が解決するのを待つのが常套手段です。高校で尖っていた彼も大学に入学すると落ち着いてくることも多いですよね?そういうことです。
しかし、中には時間が経過することでさらなる不良へと突き進んでいく場合があります。これは本人の資質だけでなく、周りの環境が大きく作用する場合があります。現在の息をすれば下落する株式相場などは、まさにこれにあたります。
息を止めてみたが効果はなかった
買い増しする(ナンピン)
戦略其の二は、買い増し、いわゆるナンピンです。
ひたすら放置をしていた結果、とんでもねえ不良に発展します。
保護者からすると想像を超えた不良にまでなってます。ドラゴンボール的に言うと、超不良2ぐらいまで行ってます。
ここまで来ると彼一人だけの力だけではとうてい更生できないような気がしてきます。そこで株の買い増しをして購入単価を下げ、損益分岐点を下げます。つまり、更生の手助けをしてあげるのです。
ここで重要なのは、NISA口座は他の口座と損益通算されないため買い増しはNISA口座でやらなければならないことです。
NISAを救えるのはNISAだけ!
うまくいけば近所中に自慢できますが、更生の手を差し伸べたことが逆に仇となり、損が膨らむのもまたあるあるです。この戦略は諸刃の剣であることはしっかりと頭に入れてきましょう。
撤退する(損切り)
戦略其の三は、撤退、いわゆる損切りです。
含み損を消せていませんが、戦略の1つとして考えるべきです。
不良になった瞬間もしくは不良になりそうな予感を感じた瞬間に動きます。
タイミングとしては、クローズZEROを映画館で観てきた帰りぐらいです。
傷口が浅いうちに思い切って売却すればデメリットも小さいです。微益ならなお良し(かもしれません)。
戦略的撤退と叫びながらタップすると勢いがつきます
実例を見てみよう
私が所持している(していた)銘柄での実例を3例ご紹介します。2例は現在進行形です。
パナソニック君の場合
2018/12/6 1139.9円で100株購入
2020/1/24 1124円で100株決済
実例1つ目は、パナソニックです。
2018年の年末付近の暴落の最中の購入です。「年末までNISA枠を余らしていた自分、グッジョブ!」と言いながら購入したのでしょう。
バーゲンセールで購入したはずが、購入後もダウントレンドは継続しました(その間に他の株たちは復活しています)。完全なるひたすら放置プレーに移行しています。
深い谷に入り、一時は800円を切っていましたが、そこから急にトレンド転換し、今年の1月に決済しています。価格だけを見ると損切りのように見えますが、配当も考慮すると微益での撤退になっています。
谷が深かっただけに微益まで粘ったものの即決済!
その後、株価が上がっているのはご愛嬌。
楽天君の場合
2019/12/11 921円で300株購入
実例2つ目は、楽天です。
完全なる2019年のNISA枠余りのため、購入しました。 グループ会社が光免疫療法という素晴らしいソリューションを持っているためです。
購入後、調子よく上昇し、決済が頭にちらつくも我慢。そして、そこから怒涛のダウントレンドが始まります。一時830円を切るもそこから異様に強くなり、プラ転、ニマニマの状態が続き、2月21日の5G関連のプレスリリースでさらに跳ねます。
ここでも決済が頭に浮かびつつもステイ。2月25日夜に「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられたことによる良い効果があったようで新型コロナウイルスによる相場の変調が見られだしてからも粘りを見せていました。
この粘りに対し、「おっ、楽天すごいじゃん。周りは落ちているので逆に買いが集まって、もしかして4桁行くんじゃね?」と思い、決済注文を指値で置きました。
その日から彼は変わりました。もう気付いたときには茶髪です。
現在の戦略はひたすら放置です。
スケベ指値ではなく、落ちた時にも利益確保するための逆指値を入れるべきだったと反省。
日本ヒューム君の場合
2018/12/6 902円で100株購入
2019/3/19 740円で100株追加購入(平均取得単価821円に)
2020/2/28 655円で200株追加購入(平均取得単価738円に)
実例3つ目は、日本ヒュームです。
パナソニックと同じく2018年の年末暴落での購入です。驚くべきは2019年3月にナンピンをしていたこと。完全に記憶から抜けてました。
ナンピンによる救済措置も焼け石に水となり、一時は610円を切ります。しかし、ここから国土強靭化関連株として注目を集め始め、あげぽよとなります。
そして、プラ転も達成(この時点ではナンピンが有効に働いている)していたものの決算の失望もあり、また下げだします。
極めつけは新型コロナウイルスによる暴落で、大きく下げました。そこに対して2度目のナンピンを発動。現在に至るという状況です。
なぜ複数ある中でこの銘柄をナンピンしたかと言うと、国土強靭化関連株なので需要は衰えないと判断したためです。
願望要素が強めだという意見は、甘んじて受け入れます。
まとめ
本記事では、下落相場で暴かれがちなNISAのデメリットを見てきました。どちらかと言うと私の行き当たりばったりトレードを晒す方がメインになっているような気がしなくもありません。
後からチャートを使って振り返る機会もあまりないのでいい経験になりました。が、相場を注視するスタイルでもなく、さらに忘れやすい私はまた同じようなことを繰り返すのでしょう…。
本記事のまとめです。
- NISA口座は損益通算の対象外
- NISA口座に対する有効なナンピンにはNISA口座の利用が必須
- 投資の際には様々なバイアスがかかるため、正常な判断を下すのは困難
- 先が読めない相場に突入した際は逆指値決済の活用が効果的
NISAを救えるのはNISAだけ!
クノウ
しかし、さらに首を絞めるのもまたNISAである。
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