米国のインターネット広告に関して気になるニュースがありました。その内容と共にそこで感じた「アマゾンの顧客満足度の高さ」が与えるブロガーへの影響を記事にしました。
米国株分析記事のようなそうでないような…後半はブロガーやアフィリエイター向けの内容になってます。現代版「風が吹けば桶屋が儲かる」的な「アマゾンが便利すぎるとブロガーが泣き崩れる」。
長めですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
主な登場人物は、Google (NASDAQ: GOOGL)とAmazon (NASDAQ: AMZN)です。
ニュースでは「検索広告」と書いていますが「検索連動型広告」の方がなじみがあるので本記事では「検索連動型広告」と記載します。
- 検索連動型広告カテゴリでアマゾンがグーグルのシェアを奪うと予想されている
- アマゾン内だけで完結するようになった新しい購買行動は恐ろしい
- ブロガーはこの変化にどう対応すべきか
検索連動型広告とインターネット広告
検索連動型広告とは
まずニュースで取り上げられている「検索連動型広告」とは何かを押さえましょう。検索連動型広告はインターネット広告(オンライン広告)の1種で、検索結果に表示する広告です。リスティング広告とも呼ばれます。
検索するワードに応じて表示する広告が変わるため、「連動型」が名前に付いてます。
広告主は広告を出したい検索ワードに入札をする仕組みとなっており、料金は掲載された広告がクリックされたときに発生します。
インターネット広告の種類と割合
インターネット広告の全体像についても紹介しておきます。インターネット広告の種類をざっくり分けると以下のようになります。
- 検索連動型広告
- ディスプレイ広告
広告枠にテキストやバナーを表示する広告(例:グーグルアドセンス) - ビデオ広告
ビデオに表示される広告(例:YouTube) - 成果報酬型広告
ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)を使用して掲載される広告
インターネット広告の種類ごとの割合は以下のようになっています。検索連動型広告が一番大きな割合を占めています。
インターネット広告全体のマーケットシェア
検索連動型広告市場ではグーグルとアマゾンが目を引きますが、インターネット広告全体で見はグーグル、フェイスブック、アマゾンの3強と言われています。検索連動型広告で成長しているアマゾンが全体でも存在感を出してきています。
検索連動型広告の勢力図に変化あり
さて、ではニュースの本題に入っていきます。
拡大する検索連動型広告市場とマーケットシェア予想
米国の検索連動型広告市場は2019年に約6兆円($55.2 billion)規模となり、2018年から約18%拡大する見通しになっています。その中でも圧倒的なシェアを持って君臨しているのがグーグルです。
検索連動型広告の今年の予想シェアと2年後の2021年の米国での予想シェアを表にまとめました。
順位 | 企業名 | シェア(2019年予想) | シェア(2021年予想) |
---|---|---|---|
1 | Google (NASDAQ: GOOGL) | 73.1% | 70.5% |
2 | Amazon (NASDAQ: AMZN) | 12.9% | 15.9% |
3 | Microsoft (NASDAQ: MSFT) | 6.5% | 2019より低下 |
4 | Verizon Media | 2.0% | 2019より低下 |
5 | Yelp (NYSE: YELP) | 1.8% | 2019より低下 |
グーグル恐るべしですね。しかし、注目されているのは2位につけているアマゾンです。
アマゾンがグーグルのシェアを奪う
アマゾンは去年、米国の検索連動型広告市場でマイクロソフトを抜いて2位になりました。そして、今年は前年比で約30%増となり、グーグルとの差を縮めるとみられています。
さらに上の表にあるように2021年においてはさらにグーグルのシェアを奪うと予想されています。
シェアだけ見ると大したことないような気もしますが、記事内にあったこの談話はかなりの地殻変動が起こっているのではないかと考えさせられます。
広告世界最大手の英WPPは昨年、3億ドルの広告費をアマゾンの検索広告に投じた。この金額の75%は、それまでグーグルの検索広告に投じられていたものがアマゾンに回ったものだという。また、米最大手の広告代理店オムニコム・グループでは、同社の顧客が検索広告に支出した金額の2~3割がアマゾンの検索広告に投じられたという。
おまけ:日本での検索広告市場
ここまで米国の検索連動型広告を見てきましたが、日本はどうなのか気になりませんか?そんなあなたのためにおまけです。さらっといきます。
ヤフーが強い
ででーん!日本の検索連動型広告のシェアはこうなってます!ヤホー強い!
ヤフーは検索エンジンとしてはグーグルを採用していますが、広告枠はヤフーが持っているようです。
米国市場ではまったく姿が見えないヤフーが日本では2強に入っている。
こんな現象は世界中探しても日本だけなのではないでしょうか?This is Japan!という感じですね。異常です。以上です!
グーグルとアマゾンの検索連動型広告の違い
では今回テーマになっている検索連動型広告についてちょっと深掘りをしてみます。ご存じの方も多いと思いますが、両者の検索連動型広告は「検索結果に広告を出す」という行為は同じですが関わる戦略はまったく違うのです。
グーグルの検索連動型広告
グーグルの検索連動型広告を実際の検索結果で確認してみましょう。ポイントは、どの結果をクリックしてもグーグルとは別のサイトに遷移する点です。
赤枠:検索連動型広告
青枠:広告ではない検索結果
検索連動型広告周りでグーグルにお金が入るパターンは2パターンです。
パターン1
検索結果に表示された広告がクリックされた
➡広告料が発生
パターン2
検索結果に表示された広告はクリックされなかったが、他の検索結果のページに張り巡らされたディスプレイ広告(いわゆるグーグルアドセンス)がクリックされた
➡広告料が発生
私も末端アドセンス隊員の一人として頑張っております!
貢献度は低いです。。
アマゾンの検索連動型広告
アマゾンの検索連動型広告を実際の検索結果で確認してみましょう。ポイントは、どの結果をクリックしてもアマゾン内にしか遷移しない点です。
赤枠:検索連動型広告
青枠:広告ではない検索結果
検索連動型広告周りでアマゾンにお金が入るパターンは3パターンです。
パターン1
検索結果に表示された商品(広告)がクリックされた
➡広告料が発生
パターン2
検索結果に表示された商品(広告)はクリックされなかったが、商品が売れた
➡基本成約料や販売手数料が発生
パターン3
検索結果に表示された商品(広告)がクリックされ、商品が売れた
➡広告料が発生 + 基本成約料や販売手数料が発生
フリーク
商品の品揃えははいいし、価格は安いし、納品も早いし、プライム会員になったら面白い動画いっぱい見れるし、…(以下略)
ネットユーザーの購買行動の変化
違いを鮮明にするために次はネットユーザーの側からみていきます。簡略化した購買行動を書いてみました。
グーグルを利用した従来の購買行動
ネットで商品を買いたいと思う
↓
グーグルにアクセスして検索する
↓
検索で出てきたページで商品を比較検討し、商品を購入する
グーグルを利用しない新しい購買行動
ネットで商品を買いたいと思う
↓
アマゾンにアクセスして検索する
↓
アマゾン内の商品を比較検討し、アマゾンで商品を購入する
一目瞭然ですが、新しい購買行動ではグーグルはまったく関わっていません。ユーザーはグーグル先生に聞かずとも直通ルートがあるのを知っているのです。
このルートは、アマゾンの圧倒的な顧客体験によって築き上げられたものです。
「どうせ検索してもアマゾンに行くんだから直接アマゾンに行くのがいんじゃね?」
この動きが生まれることにより、すべてがアマゾン内で完結するのです!
買うものを探してネットを回っていたはずが気付いたら全然関係のない米中関係の解説記事を読んでいたなんてこともなくなるのです!
アマゾン恐るべし…。
新しい購買行動と書いていますが、だいぶ前からじわじわ広がってきたのだと思います。私もかなり前から完全にこちら側の動きでした。
我々ブロガーに関わる重要事項
ここまで検索連動型広告に絡めてユーザーの購買行動が変化していることを説明してきました。実はこの行動の変化、我々ブロガーにも大いに関係があります。ここからは投資家ではなく、ブロガーモードで書いていきます。
購買行動の変化は死活問題
すでに感じているかと思いますが上で見てきたユーザーの購買行動の変化は、ブロガーやアフィリエイターにとって良くない動きです。グーグルは我々を末端工作員として活用してくれていましたが、アマゾンは違います。オコボレなんてまったくなしです。
マイナス面ばかり強調するのもよくないので中和剤も撒いておきます。
私の場合、基本的に直接アマゾンへアクセスして商品を探すことが多いのですがそうしないこともあります。
- 高額商品の購入を検討するとき
- レビューのみで判断せずに慎重に買うものを決めたいとき
- 買うものがはっきりと定まっていないとき
上記のような場合、私はグーグル先生に相談をします。行動を変えているユーザーも上記の場合は私と同じようにグーグル検索をするのではないかと考えます。
変わるネット検索
グーグル→アマゾンを見てきましたが、話の対象は商品を買う時のユーザーの行動です。
「アフィリエイターには関係あるけど俺はブロガーなんで関係ないっしょ」と思ってる人がいませんか?
半分正解で半分間違いです。ユーザーの行動の変化はいろんなところで起きているのです。
多様化するネット検索
普通の情報収集での検索においてもグーグル検索ではなく、ツイッターやインスタグラムなどで検索をする人も増えてきています(特に若者)。
また、レストランを調べる場合はぐるなびアプリから検索、家電だったら価格.comアプリから検索など、スマートフォンのアプリがそれぞれのサービスが入り口となる動きも以前から確認されています。(本記事で言及している新しい購買行動がアマゾン以外にも起こっています。)
スマートスピーカーも登場し、音声での検索も広がりを見せてきています。
でも音声検索って広告と相性悪そう…そう思いますよね。企業がディスプレイ搭載スマートスピーカーを売りたい理由の1つかもしれません。
一番大きな影響は…
ネットユーザーの行動が変わってきているとはいっても帝王はグーグル検索!それは揺るぎない事実です。数字から見ても明らかです。
グーグル大元帥、ありがとうございます!
しかし、我らを率いていたグーグル大元帥の様子が以前とちょっと違うような…。最近の大元帥は答えのあるサイトを訪問させるのではなく、検索結果に答えをお漏らししちゃたりするのです。しかもその答えが訪問するはずだったサイトから抽出してることもあったりしてちょっとあれなんです。
一生懸命頑張ってきた末端の歩兵に厳しい仕打ち!そりゃないよと叫びたい!
末端はお上のルールチェンジも受け入れますよ(引きつった笑顔)
変わるネット検索への対策
この変わっていく状況に対して我々ブロガーは何ができるのでしょうか?
それは、ブログへの流入経路を増やすことです。
「欲しいのはそんな答えじゃねえよ!ボケ!」という声が聞こえてきそうですが、シンプルにこれしかないのではないでしょうか。いい記事を書くことはもちろんなのですが、流入経路を増やすことが今まで以上に必要になってくると思います。
- ツイッター
- インスタグラム
- フェイスブック
- YouTube
- はてなブックマーク
- にほんブログ村…などなどなど
すぐにどうということはないでしょうが、ユーザーの行動がさらに変わってくると情報提供側も変わる必要が出てきます。
現在見えてきている状況を例えるとこんな感じです。(逆に分かりにくい?!)
- 街へのほぼ唯一の入り口だったグーグル通用門からの入場者が減っている
- アマゾンというジャングルに入ると街へ繋がる道はない
- グーグル通用門ではない他の通用門がたくさんできている
- 他の通用門からの入り口は自分で作らないとあなたの商店(サイト)へたどり着けない
※商品(コンテンツ)が超絶よい場合は訪問者が代わりに入り口を作ってくれる場合も有
ちなみに私は現状ツイッター、はてなブックマーク、にほんブログ村をやってますがすでにいっぱいいっぱいです。
グーグルアドセンスへの影響
最後にアドセンスへの影響はないのかを考えてみました。
結論から言うと、グーグル検索連動型広告の予算減少はグーグルアドセンス(ディスプレイ広告)にも波及すると思われます。
ジャンルに強く関連してくるとは思いますが、アマゾンに予算を回す企業が多いジャンルは必然的にアドセンスへ回ってくるお金は減ります。その結果、入札金額は下がるのではと予想しています。
すでにクリック単価が低すぎるという話もちらちら目にします…。始めたばかりで昔をしらない私も同意します(0円クリックは切ない…)。
目標のブログの収入でサーバー代をカバーするためにはアドセンス以外も考えなきゃいかんということか…
【さりげなく置かれるおススメ本の記事】(記事のクセがスゴい!)
自分が本当にいいと思ったものを紹介してお金がもらえるのって素敵やん。
まとめ
検索連動型広告の勢力図の変化とその原因となったネットユーザーの購買行動の変化。そしてその影響が我々ブロガーにも及んできますという記事いかがだったでしょうか?(大きな影響源はそこではない?…)少しでも役に立つ点があれば嬉しいです。
グーグルもアマゾンもすばらしいビジネスモデルを構築し、信じられないほど儲かっている企業です。しかし、現在絶賛審議中のいわゆる「GAFA規制」には注意が必要です。投資先として検討する際には充分お気を付けください。
本記事のまとめです。
- 検索連動型広告カテゴリでアマゾンがグーグルのシェアを奪うと予想されている
- アマゾン内だけで完結するようになった新しい購買行動は恐ろしい
- ブロガーはさらなる変化に備えて流入経路を増やすべし!
One more thing…
私のミッションの1つに
— 現役曲げ師👁🗨クノウ (@munokuno) October 19, 2019
【現在ほぼ使われていない「無能投資家」というワードを広める】
があります。
先ほど発覚した驚きの事実😲
「無能投資家」でグーグルの検索連動型広告が出稿されている…。#ミッション #検索連動型広告 #無能投資家 pic.twitter.com/9IKWm0MNM4
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